2020年5月7日、世界中に新型コロナウィルスが蔓延する中で、英国出身のストリートアーティスト「バンクシー」の新作が、英サウサンプトンの病院に寄付されました。
日本のメディアでは「医療従事者へエールを送る作品」として紹介されましたが、この作品の解釈を巡り、SNSが盛り上がったようです。
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バンクシーの「医療従事者を讃える新作」が話題に!
【ロンドン共同】素性不明の芸術家バンクシーが6日、看護師をモチーフにした絵画の新作を公表した。BBC放送によると、作品は英南部サウサンプトンの病院に飾られた。新型コロナウイルスの感染が各地で広がる中、医療従事者に向けてエールを送る作品となりそうだ。
写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿された新作には、マントをまとった看護師の人形を掲げた少年が描かれている。傍らには、米コミックの人気ヒーロー、バットマンとスパイダーマンの人形が置き去りにされ、少年が看護師を「新たなヒーロー」に選んだことを表現したようだ。
BBCによると、絵画は1メートル四方の大きさ。モノクロで、看護師のエプロンの赤十字だけが赤色で描かれた。病院の協力を得て、救急病棟の待合室に飾られている。
バンクシーは「作品は白黒だが、この空間がぱっと明るくなることを願っています」とのメッセージを寄せ、病院の職員らに謝意を示した。
作品は今秋ごろまで飾られた後に競売にかけられ、収益は英国の国家医療制度(NHS)のために寄付される予定。バンクシーは英国出身とみられている。
この作品のタイトルは「ゲームチェンジャー」。
幼い男の子が、マスクやマントを身に着けた「看護師の人形」で遊んでいる姿が描かれたものです。
その脇には「バットマン」や「スパイダーマン」などのヒーローの人形が、無造作にカゴに放り込まれています。
「医療従事者に向けてエールを送る作品」と言われていますが、「子供」と「おもちゃ」と言うあたりが、なんだか少し心に引っかかるような気もしますね。
バンクシーはこの作品を、英サウサンプトンの病院に寄付するにあたり「あなたたちがしている全てのことに感謝します。白と黒だけの作品ですが、この場所に少しでも明るさをもたらしますように」とのメッセージを添えています。
2020年の秋ごろまで病院に飾られた後、競売にかけられ、その収益が英国の国家医療制度(NHS)のために寄付される予定だそうです。
バンクシーの行為は、医療に対する感謝を示したものに違いありません。
ただ、作品に込められた意味は?と言うと、、なんだかちょっと意味深?
バンクシーの「ゲームチェンジャー」に込められた意味は?みんなの解釈
バンクシーの作品は、イギリス西部の港湾都市「ブリストル」のアンダーグラウンド・シーンから生まれ、政治や社会への風刺が込もったストリートアート。
ダークなユーモアが漂うものが多いですよね。
今回の作品「ゲームチェンジャー」もにも、そんなエッセンスが漂っており、暗に込められた意味がちょっと気になるところです。
皆さんはどのように思われているでしょうか。
純粋に「医療従事者への敬意」を払っている
医療従事者が戦っているところを称賛するのを描写している良い絵だ
今一番必要なのはヒーローではなく医療関係者であるということを如実に表した作品。素晴らしい。
皮肉と捉えている方もいるようですが、経緯やタイトルがGame Changerという点から見て皮肉ではなく普通に称賛と捉えて良いかと もしかしたら、本当に子供の応援対象が架空のヒーローから医療従事者に移っているのかも知れませんね(身近に子供がいないので憶測ですが)
「ゲームチェンジャー」と言うタイトル通り、子供達のヒーローに対する価値観が変わった事を表す作品であって、純粋に医療従事者への称賛と敬意が込められているものだと言う解釈。
社会に対する「風刺・皮肉」が込められている
バンクシーがこの絵に添えた言葉は「ゲームチェンジャー」(スポーツの試合で流れを一気に変えてしまう選手)。看護師に感謝を伝えているのは間違いないだろうが、同時に(飽きっぽい)子供がおもちゃとして手に持つ絵柄からは、今だけ看護師を讃える風潮への皮肉も感じる。https://t.co/OzMyk1xS5r pic.twitter.com/cmwjhITV28
— 伊丹和弘@マリサポ兼記者 (@itami_k) May 7, 2020
・子供の表情が暗い
・ゴミ箱の中に両腕のないバットマン&脚の折れたスパイダーマン→医療従事者を英雄と崇めいずれ使い捨てする社会への風刺だと思う。
医療従事者は僕らのヒーローさ!! ってしたいならワザワザゴミ箱に捨てられた以前のヒーローを描写しないと思うんだよなあ。 子供とヒーローっぽく扱われてる医療従事者のツーショで終わる話だもの。
え?これ敬意を払ってる図なの?バンクシーだし風刺じゃないの?
何も知らない子供(一般市民)が医療者という新しいおもちゃを手に入れたけど、飽きたらカゴに入ってるヒーロー達と同じ運命を辿るよって
めちゃくちゃ皮肉なのでは?
医療従事者でさえも、一過性のブーム・時のヒーローに過ぎない、残酷な社会を描いた風刺作品だ、という感じの解釈が多く見られました。
ちゃんと適切に(普通に、素直に)読み取れてるのに。(引用画像参照)
なぜ「医療従事者に敬意」とかいうサムネイルになるのだろう?
普通にまとめるなら、
バンクシー「ゲームは変わった」。子供のヒーロー遊びの対象は、コミックヒーローから医療従事者へ pic.twitter.com/KKBq0u4k0c
— rrr (@rt_nandemo) May 7, 2020
「ゲームチェンジャー」と言うタイトルの通り「子供の遊びの対象が、コミックヒーローから医療従事者へ変わった」というものであり、メディアが報じた「医療従事者に向けてエールを送る作品になりそうだ」と言う解釈に疑問の声が上がっていました。
バンクシーの作品は、その裏に込められたシニカルな意味を味わうのが醍醐味ですし、まっすぐに受け取れと言われても、、ですよね。
バンクシー作品の良さとは?
バンクシーの絵は見るのも楽しいけど、絵に込められた真意を探るのもまた一興。別にコメ欄の人達は批判をしていない。ただ純粋に絵から色々と推測したりして楽しんでいるだけです。 バンクシー良いですよね。
バンクシーが敬意を表してないわけでもないと思うが(感謝のメッセージとともにオークションにかけて収入にして良いと言ってるわけだし)それはそれとしてあの絵が同時に皮肉であることは両立するんだよな
— セメントTHING 시멘트 (@cement_thing) May 7, 2020
作品に込められた意味を色々と探っていくのが、バンクシーの作品の楽しみ方ですよね。
受け手により解釈は様々!
敬意の絵だと思わなかった。
下にバットマンとスパイダーマンがいるので、正義の悩みを抱えているヒーローたち。
医療従事者も同じように悩みを抱えているということを伝えているんじゃないだろうか。
さらに踏み込んだ考察・解釈をされる方も。
この子が1人で顔が寂しそうにして遊んでるようにも見えるから、もしかしたらお母さんは看護師でこの子には感染するかもしれないのに自分を犠牲にして誰かを助けて頑張ってるお母さんがスーパーマンのようにカッコいい存在ともとれるな自分は
— 建宮 (@tatemiyasora) May 7, 2020
受け手により、どんどん作品の意味が深められていくのが、面白いですね。
まとめ
新作「ゲームチェンジャー」の解釈を巡り、SNSで多くの人たちが様々な意見を交わしていました。
バンクシー自身が、この作品に込めた本当の意味は分かりかねますが、私たちの心にさざ波のような「何か」を残してゆくところが、彼の作品の最大の魅力ですよね。
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